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インタビュー

[日系SI→外資系大手IT] 転職者インタビュー(3) ラッコ先輩さん

更新日:

外資系IT企業勤務者インタビューの第3弾は、当サイト管理人の1人、ラッコ先輩のインタビューです。

同じく当サイト管理人の花田がインタビュアーとして話を聞きました。

ラッコ先輩さん(30代後半)

2007年、日系システム開発会社に中途入社(開発職)。
2009年、外資系IT企業D社に転職(開発職)。
2016年、同社でエヴァンジェリストグループに異動(マーケティング職[現職])。

花田サトシ
それでは、改めてよろしくお願いします。まず、新卒で就職したのではないのですね。
ラッコ先輩
はい、コンピューターサイエンス分野でドクターになろうと思っており、修士まで出て、博士課程に入った後で行き詰まりました。
花田サトシ
具体的には何が行き詰ったのでしょうか?
ラッコ先輩
私が所属していた大学院の研究室の先生は、基本放任でした。それはそれで悪くないのですが、いま振り返ると、教授がドクターを取れるように誘導する、道筋をつけてくれたほうが圧倒的に取りやすいですね。それと、私は自分がそこまで研究を好きでないことが分かったこと、さらに父も退職し、お金が無くなってきた。この辺が重なって「ああ、行き詰った」と感じました。
花田サトシ
それで、友人の会社で働くことになったわけですね。
ラッコ先輩
そうです。働かないとという時点で、ドクターを取ることは半ば諦めていましたが、研究室にはその後2年在籍はしました。その間、ドクターを取って大学で職を得ていく友人を見ていると、かなり落ち込みました。「向こうはドクター取って研究者デビューしているのに、自分はドクターも取れず研究職にも就けない」と。まあ、今振り返ると、研究者にならなくて正解だったと思います。
花田サトシ
研究者にならなくてよかった、というのはどのような理由からでしょうか?
ラッコ先輩
大学の研究者って基本給料が安いです。うまくいけば常勤で働いて安定した収入が入りますが、それでも年500万円もいくことはないです。そして、テニュアと呼ばれる准教授以上のポジションに就けるのは、本当にごくわずかです。テニュアになっても給料はそこまで高くありません。いわゆるポスドク問題で、ポストが足りなさすぎです。
花田サトシ
収入とポジションという観点で研究者にならなくてよかった、ということなのですね。
ラッコ先輩
あと2つありますね。理系で研究者になるには、やはり国立大学の理系卒の方が有利だなと感じました。色々な面で厚みが違いますから。そして最後に、一番重要なこととして、私は研究がそこまで好きでなかったということです(笑)。
花田サトシ
ちなみに、友人の会社にはどのように入社したのですか?
ラッコ先輩
友人は、早稲田の理工を学部で卒業した後で、大手SIに勤務した後独立して会社を作っていたのですが、定期的に飲んでいました。博士課程どうしようかと悩んでいる、という話をしたら、「うちでちょっと働いてみたら?」と勧誘され、そのまま入社しました。面接など一切なしです。早稲田の焼き鳥やさんで2時間飲んで、話をして、そのまま決まりました(笑)。
花田サトシ
友人がラッコさんを入社させたのは、どのような点に期待していたのでしょうか。
ラッコ先輩
汎用性があると思ったのだと思います。何をやらせてもそれなりにできる奴だと。研究分野はOS関連だったのですが、それ以外の部分も勉強すればできますので。
花田サトシ
入社してからは、どのような仕事をしていたのでしょうか。
ラッコ先輩
Webの開発です。Wordpressとかではなくて、裏側にデータベースがあって、かなりのトラフィックをさばくシステムを作っていました。大手企業のWebシステムの外注が多かったですね。その後は、モバイルゲーム、モバイルアプリ関連の開発が多かったです。あと、OS関連の個人的な研究は大学卒業後も趣味で続けていました。
花田サトシ
ラッコさんは約3年弱で転職されているのですね。
ラッコ先輩
そうです。仕事面に不満はなかったのですが、給料が安かったですね。確か400万円くらい。私がJリーグのサッカー観戦が趣味なのですが、飛行機や新幹線だとお金が続かないので、深夜バスで応援にいっていました。さすがにもっと給料もらって、飛行機や新幹線で移動したいなと思ったのが転職のきっかけです。
花田サトシ
その縁で、大手外資系IT企業のD社に入社されたのですね。この会社は世界最大手の1社なので、すごい飛躍ですね。
ラッコ先輩
タイミングが良かったのだと思います。OS関連に詳しくて、Webにも詳しくて、汎用性があって、英語は流暢ではないが読み書きはなんとか使える、あとは開発者同士なので、コードで実力を伝えられる点ですね。コードは面接や書類全てを超越しますよ。
花田サトシ
以前の会社は従業員が12名で、今の会社は従業員が数万人ですので、大きな変化だったと思いますが、転職してみてどう感じましたか?
ラッコ先輩
スゴイな、と思ったのは、「本業にひたすら集中するために会社が作られている」という点です。些末な処理、例えばボールペンがなくなったのでアスクルに発注しなきゃ、といった点が全くなかったですね。オフィスの掃除も不要ですし。大手企業だと当たり前なのかもしれませんが(笑)。
花田サトシ
現在の担当の仕事は何でしょうか。
ラッコ先輩
OSまわりの開発ですね。OS名を言うとすぐに会社がばれるので、そこはご遠慮ください。アメリカに開発部隊がいるので、そこと連携を取り合って、日本向けの機能などを開発しています。詳しく言えずにすみません。
花田サトシ
開発の裁量、自由度はどうなのでしょうか。
ラッコ先輩
どのように働くかについては、ほぼ放任といってよいほど自由度があります。ただ、大きな製品なので、開発手法と範囲についてはそこまでの自由度はありません。まあ、当然だと思います。
花田サトシ
他、転職して同僚のエンジニアの方に優秀な方が多いと感じたそうですが、その辺り聞かせてください。
ラッコ先輩
前の会社では、開発者のスキルの差はかなり激しかったです。ぶっちゃけ、開発者と呼べないレベルの人も多くいました。しかし、この会社では基本コンピューターサイエンスを専攻していて、修士以上持っているのが標準です。文系プログラマーみたいな人はほとんどいないと思います。
花田サトシ
そうなると、高学歴の人が多そうですね。
ラッコ先輩
その通りです。東大、京大はじめとした旧帝大と、早稲田、慶応あたりが多いと思います。後は海外大学卒もいますね。実力社会を極めていったら、高学歴が多くなった感じがします。とはいえ、実力があればどんな人にも門戸は開かれています。
花田サトシ
英語を使う機会は、やはり急増したのでしょうか。
ラッコ先輩
そうですね。前職では、英語を使うことはゼロでしたが、今は毎日使っています。英文の読み書きは問題ないレベルで、話す聞くも対面であれば大丈夫です。しかし、私は英語の電話会議が苦手なので、まだまだ英語力を付けなければと思っています。
花田サトシ
英語はかなり一生懸命勉強されたのでしょうか。
ラッコ先輩
読み書きに関してはそこまででもないです。大学受験の時の英語力にプラス、修士課程、博士課程で英語の論文をたくさん読んだことに助けられています。コンピューターサイエンス分野は英語の論文に数多く当たる必要がありますが、論文の英語自体は難しくないんです。ただ、話す聞くはまだまだ苦手意識がありますね。
花田サトシ
ちなみに、2016年にエヴァンジェリストに職種を変えられていますが、これはどのような理由からでしょうか。
ラッコ先輩
開発は面白いし、やりがいも大きいのですが、新しいことをやってみたかったのです。開発者として製品を作るだけでなく、開発者として開発者コミュニティを育てる、底上げすることをやりたいと思うようになりました。前職で部下を何人か育てる仕事をして、これが面白かったんですね。これをより大規模なレベルでやったら面白いなと思いました。
花田サトシ
社内の異動という形で職種を変えられていますが、これは結構簡単にいけるものなのでしょうか。
ラッコ先輩
社内に空きのポジションがあれば応募できますので、容易といえば容易です。とはいえ、現在進行中のプロジェクトもあるので、もろもろ落ちつけてから異動するのに半年かかりました。
花田サトシ
ちなみにエヴァンジェリストという職種は、どのような職種なのでしょうか。
ラッコ先輩
エヴァンジェリストは英語だと伝道師です。キリスト教がないところにキリスト教を広める仕事ですね。これが宗教ではなくて、開発プラットフォーム、開発手法を広める仕事がエヴァンジェリストです。
花田サトシ
そうなると、営業、マーケティング的な意味合いが強いのでしょうか。
ラッコ先輩
Yes and Noが回答です。まず、エヴァンジェリストは開発プラットフォーム、開発手法を熟知していて、その手法での開発経験が豊富にある、そしてアドバイスできることが重要になります。よって、ポジション的にはマーケティング職のような扱いを受けますが、開発のバックグラウンドがあることが前提です。開発からエヴァンジェリストになるのはありですが、マーケティングからエヴァンジェリストになるのは、まずないですね。
花田サトシ
具体的には日々どのようなことをして過ごしているのでしょうか。
ラッコ先輩
私の場合、大きく分けると2つあります。情報発信と案件支援です。
花田サトシ
まず、情報発信とはどのような仕事でしょうか。
ラッコ先輩
あらゆる形で、開発プラットフォーム、開発手法について情報発信を行う仕事です。例えばイベントです。よく大手IT企業のイベントにいくと、無料のセミナーと有料のセミナーがあると思いますが、こうしたセミナーで話すことも情報発信です。また、開発者ブログを書くことも情報発信です。Twitterだって情報発信です。サンプルコードを上げるのも情報発信です。
花田サトシ
次に案件支援とはどのようなものでしょうか。
ラッコ先輩
大口のお客さんで、当社の開発プラットフォームを使って開発をしているが、何か困った課題があったとします。営業チームが、「ここはエヴァンジェリストの力を使って、がっつり顧客を支援したほうがよい」という時にお手伝いすることがあります。とはいっても、我々はシステム開発会社ではないので、開発はしません。考え方を伝えたり、正しい開発手法を伝えたり、体制づくりをお手伝いするという活動です。
花田サトシ
開発職とはかなり違いますが、どちらの方が面白いですか。
ラッコ先輩
エヴァンジェリストのほうが断然面白いですね。相手が製品ではなく、人だという点が面白いです。あと、個人的に目立ちたがり屋なので、Webのメディアで名前が出たりするのは嬉しかったりします(笑)。
花田サトシ
少し話を戻します。転職活動はどのように行ったのでしょうか。
ラッコ先輩
給料が高い所が良かったのですが、どの会社に行けばよいかなど分からなかったので、転職サイトに登録して転職活動をしました。サイトは2, 3社登録したと思います。
花田サトシ
転職サイトに登録してからの流れを教えてください。
ラッコ先輩
どの会社も同じではないかと思います。登録後、メールが来て、一度エージェントと会ってくださいと連絡があります。エージェントの会社のオフィスで1時間、1時間半くらい話をするなかで、こちらの経験と要望を伝えると、要望とマッチする転職案件を持ってきてくれます。
花田サトシ
転職に関して不安な点などありませんでしたか。
ラッコ先輩
勤めていた企業が零細企業だったので、大手に転職するといっても難しいかなと思っていました。実際のところ転職できたので、実力さえあれば、前職の会社名はさほど重要ではないんだなと分かりました。
花田サトシ
その後の流れについて教えてください。
ラッコ先輩
エージェントが自分に代わって、私の履歴書と職務経歴書を各企業に送ってくれます。書類で落ちるものもあれば、面接依頼が来るものもあります。面接依頼が来たものについては、企業に直接行って面接するという流れです。
花田サトシ
ちなみに面接では、どのようなことを聞かれましたか。
ラッコ先輩
一次面接から結構熱かったですね。履歴書と職務経歴書についてざっと話した後、「こうした状況で、どのように開発しますか」など、この会社の開発手法を使った開発経験がなければ答えられない質問をされ、ひたすらコードで会話していたように思います。私の説明に対して、面接官は基本否定しないんですね。こういってはなんですが、自分の実力が見透かされるようで怖かったですね。
花田サトシ
二次面接も同じ感じでしょうか。
ラッコ先輩
二次面接は、コードの話に加えて、組織の体制を説明してくれて、具体的にどのポジションに興味があるかという話をされました。応募していたポジションが「OS関連のソフトウェアエンジニア」と、やや大雑把な募集の仕方だったので、現在の空きポジションと、各ポジションの具体的な仕事について説明してくれました。一次面接ほどは緊張しませんでしたね。
花田サトシ
そして最後が最終面接ですね。
ラッコ先輩
最後は、人事の方と意思確認、給与確認、入社日調整の話でした。これは40分くらいで終わったと記憶しています。今振り返ると、とにかく一次面接が大変でした。
花田サトシ
転職エージェントは、転職中にどのようにサポートしてくれましたか。
ラッコ先輩
実はいま在籍している会社以外に、2社内定をもらっていました。そこの最終回答を引き延ばすためのコミュニケーションなど、手伝って頂いました。皆さん、エージェントに期待する点は違うと思うのですが、私は「ちゃんと考えたうえで、どんどんポジションを紹介してくれるエージェント」が一番気に入りました。
花田サトシ
具体的にはどのようなことなのでしょうか。
ラッコ先輩
エージェントは、人材紹介して手数料が入る仕事です。なので、当人が興味がないポジションをひたすら押してきたりすることもあります。そうではなく、本人の希望と、彼らが持っている案件のマッチするポジションをちゃんと考えて持ってくる、それもただ持ってくるのではなく「このような理由で、おすすめできると思えます」と自分の言葉で言える人です。
花田サトシ
ちなみに、お給料の変化について教えてください。
ラッコ先輩
最初の会社では400万円でした。これが転職で650万円になり、開発者としては最終的に1300万円まで上がりました。職種を変えてエヴァンジェリストの今は1500万円ほどの年収です。インセンティブによる年収の増減はそこまでないですね。自分の仕事には自信も情熱も持っていますが、もらい過ぎかな、と思うこともあります(笑)。
花田サトシ
最後に、転職者向けに一言コメントをお願いします。
ラッコ先輩
私は誰も聞いたことない会社から、世界最大手の1社であるIT企業に転職した、たぶん珍しい例だと思います。零細企業から大手企業に書類を出すとなると、はじめから「自分は無理かもしれない」と思ってしまいがちですが、あまり考えずに受けてみるのが良いと思います。受けて落ちたところで、失うものは何もないですから。受かればラッキー、落ちても経験です。特に開発者は奪い合いの時代なので、給料を上げやすい良い時代だと思います。

 


 

インタビュアーの花田のフィードバックです。

花田サトシ
人を育てるのが好き、だからエヴァンジェリストという仕事があっているという話が面白かったです。あとは、「転職活動して損することはないのだから、あまり考えずに応募してみなよ」という話も、その通りだと思いました。優秀なエンジニアは圧倒的に足りていないので、転職して給料をがつっと上げるには良いタイミングですね。

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